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Channel: 弁護士,弁理士うつぼいわ の活動日誌
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今後多くなると思われる法律紛争「SNSによる名誉毀損」

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H260424追記

・字が小さい等を修正
・Google Chromeの現時点での問題点を後記追記

IPアドレス開示の問題点

IPアドレス開示を受ける。
→プロバイダーを特定
→プロバイダーの契約者名義・住所を知る。

ここまでは、結構行き着けます。

さて、ここからの新たな問題点の提起を。

そもそも、IPアドレスというのは、

IPでネットワーク上の機器を識別するために指定するネットワーク層における識別用の番号

である。

要するに、機器での特定となります。家族間でPCを共有していたりすると、IPアドレスだけ(だけ)では、厳密にいうと特定されていないということになります。

なんとかなるもんですが、いちおう、記載。


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H240828追記

事務所HP,Up完了です。


http://www.mizogami.gr.jp/news/ne_back/jim2407I29.htm

かなりブラッシュアップしています。

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H240807追記
大分まとまってきたので,今一度まとめて,事務所HPに,Upする予定です。
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これで1000投稿目です。




今後多くなると思われる法律紛争「SNSによる名誉毀損」


1. 名誉毀損に該当し得る「友だち」への投稿


SNSによる名誉毀損は,気軽さがあるのか,割りと多く見られます。


Google+にしろ,facebookにしろ,mixiにしろ,公開範囲を決めることが

できますが,「友だち」の間といっても「不特定多数」に対する侵害行

為として,多くのばあいは該当し得ると考えられます。


2. 逃げ得を許すな!

2.1 発信者情報開示請求の利用


実名によるSNSも多くなりましたが,法律的手続をするには,「実名」

というだけでは不足です。実名主義といっても運転免許証等の提出が求

められているわけでもないという事情もあります。


裁判等の法的手続に重要なのは,「氏名または名称」,「住所」です。


このために,発信者情報開示請求の利用が必要なばあいもありましょう

(知人等によるとはっきり分かっていなければ必須になります)。



発信者情報開示請求は,簡単にいえば,プロバイダ等に,侵害行為の

存在を知らせ,必要な発信者情報の開示を求める請求です。


まずは,各々のプロバイダ等が定めた形式に沿って情報開示請求をする


ことになります。


例:アメーバ

http://helps.ameba.jp/faq/others/delete_info/post_180.html



情報開示を拒否すれば,プロバイダ等に対して裁判が必要になります。


ちなみに,発信者情報開示請求は,訴額算定不能のばあいにあたり,訴

額が160万円,つまり,地方裁判所管轄になりますので,弁護士事案とい

えます。


2.2 証拠確保

結構むずかしい問題になりますが,SNSによる侵害行為で,まずもって

問題となるのは,名誉毀損の証拠収集です。



「一般公開」であれば,普通にぐぐれば見つかる場合もおおいですが,「友だ

ち」への投稿は,「友だち」にならなければ,名誉毀損の証拠確保が困難とい

えます。


特に,mixiでは,アカウントを消して逃げられれば,どうにもならないばあいが

おおいといえます。


まず,Webサイトであれば,ソースも含めて(ブラウザーGoogleChromeなら,


右クリック→ページのソースを表示して,テキストで保存しておくか,PDF保


管等)保存が必要になります。

……………………………………………………
H260424追記

注意点:現時点では、GoogleChromeで、保存をするのは、
やめたほうがベターです。

Google Chromeで、webページを出して、ヘッダ・フッダを表示して印刷すると、

「http://」の部分が抜けて表示されます。

これが結構証拠では問題となります。

私は、この証拠化するときだけは、Safariを使っています。Safariの印刷は、デフォルトで、アドレスが頭から出ます。技術的には、同じことかもしれませんが、特に仮処分では記載の一致性が重要視される場合があります。

ご注意を。

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弁護士に相談する前でも,なるだけ早い段階での名誉毀損の対象となるサイト


の保存が不可欠です。



3. 気になる弁護士費用

SNSによる名誉毀損は,結構労力がかかります。また,法律的な判断も必要になります。

だいたい,着手金20万円〜,報酬は,旧弁護士会基準で,大体16%(H240702修正),

となろうかとおもいます。

なぜか?

1 本人に行き着くまでが結構たいへん

 先に述べた発信者情報開示請求が前提になることがおおい。
(知人レベルで,誰がやったかはっきりわかっており,本人も否定していないのであればよいが・・・)

 発信者情報開示請求は,名誉毀損の相手方とは別に裁判になることも多い。
(裁判で開示の当否を決めてもらおうというプロバイダ等の対応があります)

 じつは,発信者情報開示をしても,住民票上の住所をSNS運営に登録しているとは限らない
(SNSの実名主義といっても,法律的には,あまり変わらない話なのです)


2 得られる利益

名誉毀損は,高額化しているといっても,名誉を回復ということが主眼になるばあいがおおく,得られるメリット,つまり,相手から取ることができる金額は,少ないということもおおいといえます。

弁護士費用は,報酬が簡単に多く相手方からとれれば(または,その見込があれば),安く設定することも可能ですが,いまだ現状ではそうはなっていないといえます。

3 回収の見込み

弁護士費用は,回収の見込みが高ければ,安く設定することもできます。

大手業者が多い過払金類型や,最強の債権ともいえる未払い賃金等では,回収見込みが高いので,比較的弁護士費用も安く設定できます。

しかし,名誉毀損をする者は,基本的に,個人です。

個人相手であれば,よほどの人でなければ,判決で数百万と出たとしても回収の見込みが少ない事案といえます。


そうはいっても・・・・

ということで,法テラスを利用した扶助対象になるばあいもありましょう。
ただし,法テラスは,着手金・報酬を担当弁護士が決められませんので,実際は,法テラスのほうが高いというばあいもばあいによってはあります。


気づいたら,後に追記していきます。



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H240717,以下追記

4. 名誉毀損文言の特定問題・・・口頭は難しい

通常の,たとえば手紙などの名誉毀損とネット上の名誉毀損とは,基本的には,同じ基準で判断されます。 


名誉毀損事件で,まず問題となるのは,名誉毀損文言の特定です。法律的には口頭でも名誉毀損とはなり得るのですが,いかなる文言によって判断されるべきかという,「名誉毀損文言の特定」という観点からは,口頭では,難しいということになります。


SNSでも,口頭のチャット機能を利用して,こういうこと言われた!では,難しくなります。

ただ,チャットといってもSNSでは,書かれる言葉のやり取りということも多いので,通常のよりは,書面化されやすいという特徴はあるでしょうか。


5.名誉毀損性・・・一般人の読み方基準

名誉毀損事件で争われることも多い論点です。
単に,名誉毀損だと主観的におもうだけでは裁判の俎上には乗りません。

名誉毀損文言を,一般人が読んだとき,確かに,名誉毀損と感じるという基準が問題となります。

客観的な基準ぽいですが,かなり予想がつきにくい論点といえます。

名誉毀損文言を,どこに取るかという選択が必要になる場合があります。


6.事実の摘示性・・・意見との違い

あまり一般的には意識されない論点ですが,極めて重要です。名誉毀損では,簡単にいえば,具体的な事実を摘示されて名誉毀損されなければなりません。単なる意見は,最高裁判決により判断基準がかなり緩まり,ほとんど損害賠償が認められないということになります(極めて簡単にいっています)。


事実は一つとしても,それに対する意見は複数あるのが普通です。
同じ事実でも異なる意見を持つのは自由である,という表現の自由が前提にあります。

SNSでも,

事実を述べているのか?

ある事実を前提として意見を述べているのか?

単に意見を述べているのか?

という違いを意識する必要があります。

たとえば,

誰々は馬鹿である!

というのは,基本は,意見です。

バカというのは,証拠によって,その成否を確定することができません。証拠をいくらもってしても,バカであることを立証することはできないのです。

これは裏返していえば,言葉の有する意味の問題でもあります。
「バカ」というのは,その有する意味は多義的です。どんな意味で使っているかが,その文言だけでは分からないのです。

それなので,たとえば,

○○試験で,○○点しか取れなかったので,Aは馬鹿である!

という記載は,事実の摘示を含みます。

○○試験で,Aが,○○点しか取れなかったか,取れたかは,客観的に証拠によって確定できることになります。

これを事実の摘示論といいます。

実は,かなり難しい論点です。

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H240718追記

7. 特定人への名誉毀損
名誉毀損は,特定人へのものでなくてはなりません。

誰か分からない者への名誉毀損は,「その人」に対する名誉毀損ではないので,損害賠償等を受領することができません。

たとえば,何々人は,○○だ!
では,特定性に欠けるといわれます。

特定性の議論は,とてもむずかしいですが,特定性の要素を組み合わせて「その人」と特定できるかという議論になります。

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8.真実性・真実相当性について

名誉毀損とされた場合,これは,今まで書いてきたものが全て充たされたということになります。


この場合でも,名誉毀損侵害として,損害賠償等を免れることができる場合があります。

これを,名誉毀損の免責三要件といいます。

簡単にかけば,

1 公益性・公共性

2 真実性

3 真実相当性

ということになります。

1は,単なる私人間のことを公に述べるべきではないという観点からの免責要件です(簡単に述べています)。
要件的には,2・3の真実性・真実相当性要件の検討が先立つのが普通です。


さて,真実性は,簡単にいえば,摘示した事実が「真実であること」です。名誉毀損は,真実であっても成立し得ますが,真実であれば,表現の自由を優先するという配慮ともいえます。

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H240719追記

真実性は,客観的な真実の要件です。証拠により証明可能な真実ともいえます。証拠により真実か否かを判断します。証拠がなければ,たとえ,神の目からみた「真の真実」でも裁判上では,「真実」と認められないことも起きます。

裁判をするには,その裁判をするための資料をどこまで取り入れることができるかが問題になります。これを,真実性の基準時といいます。

裁判では,事実審の口頭弁論終結時までが資料の範囲内となりますので,「真実性」は,事実審の口頭弁論終結時までの資料により,証明可能な程度の真実と言い換えることができます。

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