H270312記載
2. 特許化するべきかをよく考える:メリット・デメリット
特許を権利化するためには、特許のメリット・デメリットをよく考える必要があります。
2.1. 特許権は、「独占」が認められる(メリット)、代わりに、「公開」が迫られる(デメリット)権利です。
特許にするなら、公開をしなければならない、公開が嫌でも公開される。特許の基本的原理といえます。
特許は出願すればいずれ公開されます。公開がされれば、後に登録が認められなかったとしても、「公知」、すなわち、わかりやすく言えば、誰もが使える技術ということになります。
特許を出願はしたが、公開がされ、しかも登録が認められず権利化もできなかった、そんな事態になることもあります。
また、公開により、回避の方法も研究されます。あえて特許とはしない、ノウハウや秘密として、保護する方法を選択する場合もあります。
2.2. 特許権は、権利として成立しても(メリット)、あとで無効となり、権利がなくなってしまうこともある(デメリット)権利です。
特許権として一旦登録されれば、特許権があるとして、差止や損害賠償等が可能となります。著作権や不正競争防止法のように、裁判所があるか否かを決める前に、公権的な判断がされていることはとても強いといえます。
しかし、特許権紛争は、他の一般民事事件とは異なり、権利が元からなかったとされる事態が起こり得ます。
たとえば、交通事故の場合は、交通事故が元々なかったという争いとするのは、かなり難しいです。交通事故は事故としてあったとしても(前提にしながら)、例えば、損害との因果関係がないとか、過失相殺があるとかの争いとなります。
根底から、もともと交通事故による損害賠償責任はない!とするのは(普通はとても)難しいということになります。
しかし、「特許」紛争では、もともと特許は無効!だから、差止めも損害賠償もない。ということが可能な場合があります。
「意匠」でもあります。
また、「商標」でも訴訟等で無効を争うことができ、不使用取消という手段により、商標自体を取り消される場合もあります。
たとえば、出願前に出願者が知らなかったとしても、遠い外国文献にそのままの技術文献の記載がみつかった。
これで、アウトです。特許は無効となります。
資金力の差は、ここでも出ます。どんな国の文献でもいいから探し出せば、特許を潰せます。
昔とは違い、今はかなりの技術情報がネット上でみつかることもあるので、調査の面でも、大変とはなっています(現在の状況)。
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