H271019記載
法的にはこうでしょうか。結構適当ですがw 答案にすれば、もう少しシェイプアップが必要です。なにが議論になっているか明確ではないですが、法律上の義務の衝突のことを聞きたかったのだとおもいます。義務なき者には過失等は成立しない。共産主義の刑法はかなり異なるといわれていますが、あくまで日本法で議論します。
母親をたすけないと過失がある!とネット上では話題になっていますが、実は、そんなに単純な話ではないとおもわれます。キーワードは、一緒の家にいたということでしょうか。
1 なんでもまじめに議論する。・・・チャイナの司法試験
裁判所へ提訴する際、中身については、どれだけ無茶苦茶でも訴状に法律的な構成が正しく記載されていれば、裁判所は受け付けます。なんでもまじめに議論することが望まれる事態です。
最近ネットに少し話題となっている、チャイナの司法試験の問題をとりあげて日本の法律に即してまじめに議論したいと思います。ネットによると、次のような問題らしいです。
「火事の際、Aは母親を救出できたが、恋人を救うために母親を後回しにした。これはAの過失と言えるか」
裁判所へ提訴する際、中身については、どれだけ無茶苦茶でも訴状に法律的な構成が正しく記載されていれば、裁判所は受け付けます。なんでもまじめに議論することが望まれる事態です。
最近ネットに少し話題となっている、チャイナの司法試験の問題をとりあげて日本の法律に即してまじめに議論したいと思います。ネットによると、次のような問題らしいです。
「火事の際、Aは母親を救出できたが、恋人を救うために母親を後回しにした。これはAの過失と言えるか」
2 実はまじめに考えると難しいかも
刑法の問題として考えます。
まず、生じた結果、ここでは、「母親」の結果が出ていませんが、死亡の場合、重傷の場合、軽傷の場合では異なりえます。
また、「恋人」と同居している場合か否か、法律的には内縁関係が成立し得るほどの関係があるかによっても異なります。家にいるんだからほとんど内縁関係であるとするか、たまたま家にいたかということになりましょうか。実は、ここはかなり重要です。
さらに、問題の聞き方がかなり難しいです。「Aの過失」と言えるかですが、なんの過失かを論じる必要があります。
刑法の問題として考えます。
まず、生じた結果、ここでは、「母親」の結果が出ていませんが、死亡の場合、重傷の場合、軽傷の場合では異なりえます。
また、「恋人」と同居している場合か否か、法律的には内縁関係が成立し得るほどの関係があるかによっても異なります。家にいるんだからほとんど内縁関係であるとするか、たまたま家にいたかということになりましょうか。実は、ここはかなり重要です。
さらに、問題の聞き方がかなり難しいです。「Aの過失」と言えるかですが、なんの過失かを論じる必要があります。
3 保護責任者遺棄致死の構成要件該当性
まず、保護責任者遺棄致死が問題となります。
母親には、 日本の場合でも法律上の扶養義務等があります。反対に、単なる「恋人」には扶養義務等はありません。保護すべき責任がない者を何も事情がないのに優先的に助け、保護すべき責任がある者を死亡させた場合は、保護責任者遺棄致死が問題となろうかと思います。
つまり、この場合、保護責任者遺棄致死の構成要件に該当します。
まず、保護責任者遺棄致死が問題となります。
母親には、 日本の場合でも法律上の扶養義務等があります。反対に、単なる「恋人」には扶養義務等はありません。保護すべき責任がない者を何も事情がないのに優先的に助け、保護すべき責任がある者を死亡させた場合は、保護責任者遺棄致死が問題となろうかと思います。
つまり、この場合、保護責任者遺棄致死の構成要件に該当します。
4 いわゆる「カルネアデスの板」
次に問題となるのは、Aと「恋人」との関係です。恋人が、ほとんど同居状態であれば、内縁関係が成立し得るほどの関係であれば、「恋人」にも法律上の擁護義務が生じます。
つまり、この場合であれば、母親への義務、恋人への義務が相容れない状態、すなわち、義務の衝突が生じます。いわゆる、有名な「カルネアデスの板」の問題として緊急避難が問題となります。
緊急避難の場合は、状況が問題となります。恋人を助けなくても、母親を助ける余裕等がある場合は、緊急避難は成立しません。
緊急避難が成立すれば、違法性が阻却され保護責任者遺棄致死は成立しません。ここであえて致死をいっているのは、重傷・軽傷であれば、より緊急避難は成立しにくくなるといえます。
次に問題となるのは、Aと「恋人」との関係です。恋人が、ほとんど同居状態であれば、内縁関係が成立し得るほどの関係であれば、「恋人」にも法律上の擁護義務が生じます。
つまり、この場合であれば、母親への義務、恋人への義務が相容れない状態、すなわち、義務の衝突が生じます。いわゆる、有名な「カルネアデスの板」の問題として緊急避難が問題となります。
緊急避難の場合は、状況が問題となります。恋人を助けなくても、母親を助ける余裕等がある場合は、緊急避難は成立しません。
緊急避難が成立すれば、違法性が阻却され保護責任者遺棄致死は成立しません。ここであえて致死をいっているのは、重傷・軽傷であれば、より緊急避難は成立しにくくなるといえます。
5 受け入れ義務の吟味
「恋人」に対し法律上の義務がなくても、義務が生じる場合があります。いわゆる受け入れ義務です。状況からは、恋人は、自分の家にいたということになります。そうすると、単に、路上で助けなかったというものではなく、恋人にも義務が生じている可能性が問題文からは見ることができます。
そうなれば、緊急避難が成立しやすくなります。この場合には、より「過失」の有無が議論されることになります。
「恋人」に対し法律上の義務がなくても、義務が生じる場合があります。いわゆる受け入れ義務です。状況からは、恋人は、自分の家にいたということになります。そうすると、単に、路上で助けなかったというものではなく、恋人にも義務が生じている可能性が問題文からは見ることができます。
そうなれば、緊急避難が成立しやすくなります。この場合には、より「過失」の有無が議論されることになります。
6 過失致死・過失致傷の可能性
次に、過失致死・過失致傷が問題となります。故意犯たる保護責任者遺棄致死が緊急避難によって不成立となっても、過失があれば、過失致死・過失致傷は問題となります。問題に、「過失」があるか否かを問うているのは、かなり難しい。
仮に「恋人」に擁護義務等がなく、緊急避難が成立しなければ、故意犯たる保護責任者遺棄致死が成立します。そのため、この場合には、「Aの過失」は認められない、というのが答えです。
また、「恋人」に擁護義務等があれば、より緊急避難が成立しやすくなります。つまり、過失致死・過失致傷が問題となります。特に、結果が重い、死亡等であれば、より「過失」の成立は認められやすくなります。この場合には、「Aの過失」は認められる、いうのが答えです。
次に、過失致死・過失致傷が問題となります。故意犯たる保護責任者遺棄致死が緊急避難によって不成立となっても、過失があれば、過失致死・過失致傷は問題となります。問題に、「過失」があるか否かを問うているのは、かなり難しい。
仮に「恋人」に擁護義務等がなく、緊急避難が成立しなければ、故意犯たる保護責任者遺棄致死が成立します。そのため、この場合には、「Aの過失」は認められない、というのが答えです。
また、「恋人」に擁護義務等があれば、より緊急避難が成立しやすくなります。つまり、過失致死・過失致傷が問題となります。特に、結果が重い、死亡等であれば、より「過失」の成立は認められやすくなります。この場合には、「Aの過失」は認められる、いうのが答えです。
7 問題への答え
再度書きますが、問題文の状況からすれば、恋人といっても単なる「恋人」ではなく、自分の家にまで受け入れてる「恋人」です。問題文だけを考えれば、擁護義務があるとしてもいいのではないかと思います。刑法での論文試験(日本での司法試験)では、基本場合分けをしてはならないとされています。問題文から考えて、「恋人」にも義務がある→義務の衝突→緊急避難でも過失犯は成立し得るという流れで書くのがいいのではないかと思います。
こう考えると、今回の「Aの過失」は認められるか?という答えとしては、認められるというのが正しい答えでしょうか。
再度書きますが、問題文の状況からすれば、恋人といっても単なる「恋人」ではなく、自分の家にまで受け入れてる「恋人」です。問題文だけを考えれば、擁護義務があるとしてもいいのではないかと思います。刑法での論文試験(日本での司法試験)では、基本場合分けをしてはならないとされています。問題文から考えて、「恋人」にも義務がある→義務の衝突→緊急避難でも過失犯は成立し得るという流れで書くのがいいのではないかと思います。
こう考えると、今回の「Aの過失」は認められるか?という答えとしては、認められるというのが正しい答えでしょうか。
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